プロのセールスライターが、売れる文章を書くためにおすすめする本を紹介するシリーズ、今回は、ライティングのテクニックではなく、女性心理を読み解くために、ちょっぴり毛色の違う本をおすすめしようと思います。
『金持ち父さん貧乏父さん』で有名なロバート・キヨサキさんのパートナーであり、彼女自身が投資家・実業家でもあるキム・キヨサキさんが書かれた『リッチウーマン―人からああしろこうしろと言われるのは大嫌い!という女性のための投資入門 』という不動産投資にまつわる本なのですが、今回は、この本を投資の指南書として見ているわけでは、まったくありません。
単に、女性の気持ちがよく現れていて、ライティングのリソースとして使える本として、ご紹介しようと思います。
副題の「人からああしろこうしろと言われるのは大嫌い!」や帯の「夫や家族、会社、政府に頼らずに、経済的に自立していたいと望むすべての女性に贈ります」という文章も、女性なら共感できる方が多いのではないかという強い言葉で、秀逸だと思いますが、この本の中に出てくる女性たちの会話や想いは、女性一般に共通している感情であり、それらがよく言語化されているという意味で、とても興味深い本なのです。
数年前、自撮りをSNSでアップし、ホテルのラウンジでお茶会をする「キラキラ起業女子」が一種のブームのようになっていた頃、本屋さんには次々と「女性起業」という棚が現れ、「可愛いままで稼ぐ」系の本がたくさん売られていました。そして、そういった売り出し方をされている方のお客様は、もれなく女性であることから、そういった「起業本」には、女性たちが好みそうな言葉がたくさん散りばめられていますから、いったい何を言えば女性たちが惹きつけられるかを研究するための資料の1つとして良く見ていたのです。
その中にあった本の何冊かは、今でも手元に残していますが、中でも、ある程度年齡を重ねた女性の気持ちを赤裸々に知るために役立つと考えているのが、今回ご紹介している『リッチウーマン』なのです。
女友達との昼食会の話題や話の展開、何が不安で本当はどうしたいと思っているのかはもちろん、「これからは、決して自分の人生をコントロールさせない」といった感情は、なかなか想像ができない人が多いのではないかと思いますので、本屋さんで目次を立ち読みするだけでも、勉強になるのではないかと思います。
ちなみに、この本は、おそらく50代以上の女性をターゲットにした本なので、50代くらいの女性たちが思っていることを知りたい場合に特に役立つと思いますが、それらの大半は、「若い頃は、こういう理想的な人生を望んでいたけれど、うまくいかなかった、結果、今、どう思ってる」という話であるため、その選択をはじめた30代以降の女性の心情を理解することにも役立ちますし、典型的な「私の場合」「私の話」が複数載っているという意味でも、参考になると思います。
また、この本は、すっかり諦めてしまっている人達を説得して、前向きに投資をはじめることを促す本ですが、お金は人間の根源的な欲求を満たすために必要なものである以上、投資を勧めるために出てくるのは、本当はどうしたいのか、今の何が不満なのかという深い話になりがちです。だからこそ、「あ、こういう気持ちね」「本当は、こういう風に思っているんだ」という意外な話もたくさんあるのではないでしょうか。
そもそも、ライティングのテクニックを学ぶことよりも、女性たちの気持ちがわかっていることの方が、売るためには、ずっと大事です。そして、その気持ちを理解する第一歩は、実は「数」なのです。たくさん触れることで、少しずつ慣れていくので、男性でも、姉妹と一緒に育っていたり、美容師さんなど、女性と話す機会が多い仕事をされている方たちは、かなりの精度で女性の購買心理を理解されている方が多いのです。
もちろん、実際に女性の話を聞く機会を増やすことが一番大切なのですが、できるだけ女性たちが手に取りそうな本や雑誌をチェックし、どうして女性たちは、それを読むのかを考えてみることは、きっと勉強になるはずです。
P.S.
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