顧客が商品・サービスを買うのは「悩んでいる」からなのでしょうか。もちろん間違ってはいないのですが、こと女性向けに限っては、ターゲットが悩んでいるはずだという先入観が強すぎると裏目に出てしまう場合があるのです。
ベストセラー『ネットで「女性」に売る』では、女性向け商品・サービスを「売るため」の文章とデザインノウハウを39の法則に分けて詳しく解説しています。この記事では、その5つ目の法則についてご紹介しましょう。
法則5:女性はそもそも「悩んでいない」
いまだにマーケティングの世界は、男性が主導しています。一般的に流布している本や教材を見ていると、私自身がこれまで「女性に売る」現場で実践してきた方法とどうも違うと感じる理論に出会うことも多々。中でも一番ひっかかりを感じるのは、女性はそもそも「悩んでいない」のではないか、という点です。
驚きの顧客インタビュー結果
セールスコピーライターは、自分が知らないお客様に知らない商材を売るのが仕事です。知らない人に知らないものを売るのですから、当然、自分で考えて書くことはできません。依頼主の先にいるエンドユーザーさんにインタビューさせていただくことが必須になります。
具体的にはクライアントに上得意のお客様を数人紹介してもらい、一対一で深く掘り起こして話を聞いていくのですが、とあるダイエット商材の顧客インタビューで面白いことがありました。
お客様は、痩せたくて買っているのですから、事前にクライアント様からも「一般サイズのお洋服は入らない」という説明があった方でした。実際にインタビューをしてみても、最初は「太ってしまって…。」というお話だったのですが、よくよく聞いてみると、深い本音の部分ではご本人に太っている自覚がないことがわかったのです。
さらに驚くことがありました。そのダイエット商材を販売しているクライアント様は、目に見えるほど大きな変化のある「ビフォー・アフター写真」をお持ちで、効果は一目瞭然。この写真を見るだけで、みんなこの商材を欲しくなるのではないかと思えるほどだったのですが、試しに身の回りの人に見せてみたところ「醜い写真を見たくない、痩せてこの程度ならいらない」などと言われてしまったのです。
上手な広告は、現実を突きつけない
思いもよらぬ結果を受け、改めてダイエットの販促事例を大量に調べてわかったのは、上手なものほど「あなたは太っている」というメッセージを一切出していない、ということでした。
けれど、一方でライザップのようにビフォーアフターをはっきり見せる広告の成功事例もありますよね。そのため、もう一度同じメンバーにライザップの広告も見てもらったところ、同じような写真に見えたにも関わらず、今度は圧倒的にポジティブな感想が返ってきたのです。
カギは広告のモデルにありました。ライザップの広告モデルさんたちは元々が恵まれた容姿で、痩せるとすごい美女ばかり。けれど、一般人が痩せたくらいでは、あれほど綺麗になりませんよね。
つまり、痩せれば何でもよいわけではないのです。痩せたあとの姿が「本来の自分」だと思える美しさになっていないなら、残念ながら、感情移入ができません。例のダイエット商材のビフォーアフター写真では、本当に欲しいイメージを見せられていなかったせいで、見向きもされなかったのです。
このように、女性向けの販促では、今の不本意な自分の姿を直視させないことが、大きなポイントになることが、現実にありえます。
女性が現実を直視したがらない理由
以前にもご説明した通り、女性の多くはキラキラした「本来あるべき自分の姿」の方にリアリティを感じていて、現在の自分は「仮の姿」だと捉えています。太っている自覚がないこと、そして、広告の美しいモデルに共感できることの根底には、いずれも共通して理想と現実がねじれた女性特有の感覚があるといえます。
『ネットで「女性」に売る』の中では、現実を直視したくない女性に見せてもOKな写真とNGな写真をそれぞれビジュアルでご紹介しています。ダイエットの必要性をそれとなく女性に提示するには、驚くほど控えめな表現で十分です。間違っても、ぶよぶよにたるみきったお腹がジーンズに乗っかっている姿を見せてはいけません。
セミナーなどでも、女性向けのイメージ写真を男性に見せるとポカンとしてしまうことがしょっちゅうで、反対に女性たちは写真を見ながら大笑いしています。男性と女性の反応の差がとても面白いのですが、つまるところ、物事の捉え方にそれほど大きなギャップがあるということなのです。
女性には現実を直視するよう迫るのではなく、なんとなくイメージさせることで商品・サービスを売りやすくなることが多々あります。「本来あるべき自分」と「仮の姿」への認識を上手く突いていくことが女性向けマーケティングのポイントであり、男性中心で作られた従来のマーケティングが通用しにくい点でもありますので、うっかり見逃してしまわないよう注意してください。
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女性にモノを売るためには、見たくもない現実を突きつけてはいけません。ですが、その反面、商品・サービスの必要性にはしっかり気づいてもらう必要があり、さじ加減が難しいところです。
『ネットで「女性」に売る』の著者である谷本理恵子は、マーケティングの最前線とも言われる通販の運営責任者として、泥臭い集客を重ねてきた現場叩き上げの人間です。独立後もプロの「セールスコピーライター」として、あらゆる女性向け商材の販促や商品企画などに、成果にこだわったアドバイスをさせていただいています。
多くのクライアント様と関わる中で「これを知らないまま進めばすぐ頭打ちになってしまう」という無駄な広告費や時間や手間を目の当たりにすることも多く、非常にもったいないと感じています。
そこで、やみくもな試行錯誤や遠回りを回避していただくために、女性向けのマーケティングやセールスライティングの秘訣を動画付きの「無料メール講座」にまとめました。「どうすれば売り込まず、自然に売れるのか」に興味がありましたら、ぜひご登録いただければと思います。
P.S.
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