女の子はお姫様を夢見る。女性の購買心理のカギはプリンセスにあり。

女性の考え方や願望を、イマイチつかみきれないとお悩みではありませんか。実は、子供のころに好きだったものや物語からヒントを得ることができるのです。

ベストセラー『ネットで「女性」に売る』では、女性向け商品・サービスを「売るため」の文章とデザインノウハウを39の法則に分けて詳しく解説しています。この記事では、その2つ目の法則についてご紹介しましょう。

法則2:
女の子はお姫様を夢見る

ディズニーに代表される「プリンセスが主人公の物語」は、女性たちが求める感情を体現しています。プリンセスストーリーに見られる共通項を紐解くことで、マーケティングでも女性の心の動きに合わせた訴求がやりやすくなりますよ。

男の子は強くなりたい、女の子は本来の自分に戻りたい

親が教える前から、多くの男の子は、電車や車、ヒーローものに憧れを抱きます。一方で、女の子は、人形遊びやお姫様ごっこ、おままごとに夢中になる子が多いですよね。もちろん、すべての子供が同じわけありません。けれど、一般的に、男の子はレベルアップしたり「自分が強く」なったりするパターン、女の子は「本来の自分に戻る」パターンを気に入る傾向にあり、その傾向は成長しても続きます。

たとえば、車。
男性は、車を「自分の体の拡張パーツ」と認識し、車に乗ってると自分自身の体が強くなったような感覚を持つ方が多いのですが、女性は、車を「居住空間」として捉えるため、「ここに傘立てがあったら便利かも」とか「ふわふわのクッションが欲しいなぁ」などと考えているパターンが多く、魅力を感じるポイントや捉え方に男女で差があります。

人が買い物をする時は、商品やサービスそのものを求めている訳ではありません。買った先に得られる感情こそが、お金を払う本当の理由です。つまり、男性と女性、それぞれにどんな風に物事を捉え、何が好きかを知っておくことで、心の動きに沿った訴求ができる可能性が高まるのです。

物語で読み解く男女別の心の動き

マーケティングやセールスライティングの世界では、従来から、物語(ストーリー、ナラティブ)の活用が言われてきました。

男性が主人公の物語は、ハリウッド映画でも「ワンピース(ONE PIECE)」でも「桃太郎」でも、ダメダメだった主人公が頑張って強くなり、敵を倒せばご褒美がもらえるストーリーです。けれど、女性が主人公の物語は、どうでしょうか。

たとえば、少女漫画の多くは、自信のない女の子がイケメンに囲まれて「きゃーどうしよう」というばかりで、具体的に誰かと付き合いはじめるといった話の進展は、まずありません。レベルを上げて、仲間を増やしてお城に一歩一歩進んでいくといった話ではないのです。男性が主人公の物語とは、大きな違いがあることは明白ですよね。

もちろん、女性たちも男性向けのストーリーを楽しむことができますし、逆に、女性向けに書かれた物語の男性ファンもいらしゃることでしょう。けれど、物語自体を楽しむことと、自己を重ねて感情移入する体験とは、異なります。

お決まりのパターンを持つ物語が長い年月にわたり生き残ってきたのは、物語を通して得られる感情を人々が求め続けているからなのです。

本来の自分を「思い出す」がプリンセス物語の鍵

かつて、フェミニズムの分野で、王子様のキスをただ待つ「受け身な」プリンセス像が批判されたことがあります。にも関わらず、ディズニープリンセスは、今なお、世界中に熱狂的なファンを持つのは、ご存じの通り。ジェンダー平等が進んだ現代においても「シンデレラ」や「眠りの森の美女」が、女性たちから変わらぬ支持を得ているのは、かつてフェミニスト達が指摘した点とは別の部分に、プリンセスストーリーの根源的な魅力があるからでしょう。

考えてみれば、シンデレラの王子様は脇役にすぎません。その証拠に「お姫様ごっこ」をしている女の子たちは、全員が「◯◯姫」でなのです。たまたま通りかかった先生やお父さんが王子様の役をやることも時にはあるかもしれませんが、必須の役柄ではありません。

女の子たちは、自分が「どこの国のどんなお姫様であるか」をわかってさえいれば、平和そのもの。姫たちは、それぞれが自分だけのお城を持っているのですから、男性の物語のように一つのお城を巡って争うこともありません。つまり、プリンセスストーリーが女性の心を掴んで離さない一番のポイントは、お姫様である本来の自分を「思い出す」という点にあるのです。

映画『アナと雪の女王』が公開された際には、新しい時代の行動的なプリンセス像が話題になりました。けれど、「ありのまま」の自分を歌ったテーマ曲が大ヒットした現象なども、本来の自分を「思い出す」という切り口で感がれば、従来のプリンセスとまったく同様に説明できます。

男性と女性ではコミュニケーションの方法を変える

男性と女性で「求める物語」が違っているならば、内面の動きや理想とする状態も、異なってくるはずです。つまり、商品やサービスの購買プロセス(カスタマージャーニー)も、得ようとしている感情も、当然違うと言えるでしょう。

ビジネスで求められているのは、結局のところ、顧客コミュニケーションですから、マーケティングやセールス、CRMだけが特別なわけではありません。相手の心に響くコミュニケーションという意味では、対人のコミュニケーション術とも、共通しているのです。

わかりやすい例でいうなら、婚活や恋愛マーケットでは異性とのコミュニケーションの取り方を解説した本やノウハウがたくさん出回ってていますよね。もし、相手の心を掴む振る舞い方に、男女の違いを認めるなら、ビジネス上のコミュニケーションでも同様です。一人の人間が婚活をしている時と商品やサービスを買っている時で、全く別の考え方をするわけではないからです。

だからこそ、ビジネスやマーケティングにおいても、男女それぞれの傾向に合わせてコミュニケーションの取り方を変えた方が、より効果的です。わざわざ、顧客が欲しがっているものとは別のものを見せるような、ズレたコミュニケーションをしていては、まったく響かないことにもなりかねません。

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『ネットで「女性」に売る』の著者である谷本理恵子は、マーケティングの最前線とも言われる通販の運営責任者として、泥臭い集客を重ねてきた現場叩き上げの人間です。独立後もプロの「セールスコピーライター」として、あらゆる女性向け商材の販促や商品企画などに、成果にこだわったアドバイスをさせていただいています。

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